terry's River Side Bar

Travel of baton relay <episode 5 Letter from Hakodate>

terryさん、毎日暑そうですが、お元気ですか。

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私の住む蝦夷地の南端は、最高気温23〜25℃ほどで、夜はTシャツ1枚では寒いくらいです。そんな6月が終わりを迎えようとしていたある日。いつものように夕方釣りから帰ると

妻「またロッド、買ったの」
夫「いや、何にも買ってないよ・・・」
妻「部屋にあるから」
夫「・・・・・・・・」

部屋に入ると、塩ビパイプが置かれていました。そこに貼られた送り主の住所から、名古屋在住のバトンリレー走者から送られてきたロッドという事がわかりました。
早速、妻と共にロッドを取り出すと

妻「黄色にオレンジのトリミングでとても綺麗でしょう、遊び道具はこのくらいでなくてはね」
夫「・・・・ウン・・・バトンリレーのロッドだよ・・・」
妻「明日から使うの」
夫「いや7月1日から・・・・・」

遂にバトンリレーのロッドが届いてしまった。この企画に参加することが決まってから、楽しみにしていたのだけど、同時に不安に思っていたことが現実となった日でもありました。
それは、フライフィッシングの基本であるキャスティングを誰からも習ったことがなく、基礎が駄目で全くの我流であり、ロッドに関しての薀蓄などを語る自信がないこと。タイイングも同様で、カディスを巻けば蛾になり、CDCを使えば埃玉のようなフライしか巻けない。
当地で釣れる岩魚、山女、虹鱒、ブラウントラウトの4種類を釣り、グランドスラム達成をするなどと、大ホラ吹いたこと。
PCに関しては、3年前に娘のお下がりを貰い、ブログを見たり、2〜3人の釣友と釣果を報告しあうだけで、写真のトリミングや加工などは出来ない。不安全開でのバトンリレーのスタートとなりました。

其の1 岩魚編
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この企画に参加することが決まった時から、最初に行く川は決まっていました。
その川は、退屈しない程度にしか岩魚は釣れないのですが、山がナラ・ブナ・イタヤ等の広葉樹で覆われ、水量が何時も安定しており、比較的平坦で開けて歩きやすく、たまに尺物が釣れるので、最もお気に入りの川です。
この川で最初に釣れたのは、15cm程の可愛い岩魚でした。尺物で入魂をしたかったのですが、数や大きさに拘らず、退屈しない程度に釣れていれば良い自分の釣りスタイルに合った入魂でした。

この後も岩魚狙いで7〜8回は様々な川へ行った結果、自分なり感じたのは、中流域の開けた川では、DT3Fラインに5Xのティペット、12#前後のフライで釣りをしましたが、自分はグラファィトのように狭いループは作れませんが、大きくゆっくりとラインの重さを感じながら振るとキャストの下手な自分でも、なんなく10m以上は楽に飛ばせるし、尺オーバーを掛けた時も、下流への疾走を止て容易にキャッチすることが出来ました。
狭い川やボサの多い川では、ラインをあまり伸ばせないのでWF4Fを使用すると楽にキャストすることも出来ました。川の規模や状況でラインを使い分けることで、快適なキャスティングが出来ることが判りました。

其の2 山女編
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当地は山女が多く生息する地域ですが、今年は全く不調で1度目は無釣果。
2度目は、写真を撮る気にもならないような小さな山女ばかり。
3度目は、7〜8年前によく通っていた流れですが、餌師に見つかり1度は死んだ川でした。3年前に林道入り口に車止めのゲートが設けられたので、もしかして・・・の思いで訪れてみました。ゲートから入渓地点まで歩くこと30分、狭くボサの多い川なのでWF4Fラインに6Xのティペット、最初に結んだフライは、ラストカラーのバイオット・パラシュート#14。小さなプールへ第一投をキャストすると、あまり大きくないが7寸ほどの山女をキャッチ、ロッドと山女をデジカメでパチリ。無事に山女の入魂の儀を終了。さらに釣り上がると、山女・山女・岩魚の連続でしたが、山女のアベレージサイズは7寸前後、大きいても8寸ほど。岩魚も山女同様であまり大きいのは釣れなかったが、泣き尺が二尾ほど釣れ、満足な一日でした。

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翌日は、前日の脱渓地点から上流を目指して入渓。山女は前日と同様に数は出るがサイズアップには至らず8寸止まりでしたが、尺岩魚を二尾も出したので大満足の1日でした。

あまりラインを伸ばせる川ではなかったのですが、WF4Fラインと短めのリーダーとティペットの組み合わせで、ラインの重さを意識しながら、柔らかな反発力を利用してキャストすると、ピンスポットも楽に狙うことが出来、敏感な山女にも気付かれないようソフトにフライを着水させることとが可能でした。
これって渇水の川で、山女を狙うにはとても大事なことだと思います。

其の3 ブラウントラウト編
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当地には、私が知っている限り、大物ブラウンが釣れる川が2本あります。友人と出掛けたブラウンの流れは、いつもの崖から峪を降りると、今まで見たことが無いほどの渇水でした。小さなブラウンからのアタックは何度あったのですが、脱渓地点まで二人ともフッキングには至らず、帰路はウエディングシューズがやけに重く感じました。
2度目も友人とダム直下の流れへ。 何十回も通った川ですが、ダム直下で釣りをするのは初めて。奥までは25m以上あり、しかもダムから吹き降ろす向かい風の吹く中でした。ブラウン狙いで常用する#8のスティミュレーターを4Xのティペットに結び、WF4Fラインでキャストをしましたが、いくら頑張ってもせいぜい15〜6mが限界。キャストの下手さを棚に上げて、縦巻きハックルが巻かれたフライだから飛ばないんだと勝手に思い込み、ヘンマラードとCDCのヒゲナガパターンに変えてみるが、せいぜい16〜7mしか飛ばない。
スコットのG2でキャストをする友人は、25m先の落ち込みへ楽々とキャスト。そうこうしているうちに尺オーバーのブラウンをキャッチ。私もなんとか釣らねばと思い、キャストしようとしたら流木にラインが絡まるトラブル、ヒゲナガパターンを数m先に置いたまま、ラインを解いてピックアップしたら、ググッ!!と予期せぬ鱒からの手応え、8寸ほどの今期初のブラウンでした。なんとかブラウンでも無事に入魂、ヘタッピの私に相応しい一尾でした。
写真を撮ろうとしましたが、川原のないテトラの上。僅かな隙間で窮屈そうに曲がったままパチリ、家へ戻ってから画像を見てガックリ。私には撮影センスがありませんでした。

このロッドでは、大きなフライや重いニンフを自分がロングキャストするコトは無理でした。それは、このロッドを作った人の意図に反した場所での使用であったからで、これによってロッドの性能を語るのはナンセンス。ロッド製作者に失礼なので、コメントはありません。

其の4 虹鱒編
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日曜日に友人二人に誘われ、虹狙いで出撃。朝3時半に起きて集合場所へ4時に到着。
そこから1時間半ほど走って第一目標の支流に着いたが、異常渇水でまったく駄目。本流へ走ったが、入渓地点は何処も車・車・車で大混雑。しかし諦めきれず、中間地点の橋から藪をこいで強行入渓をしました。
WF3Fと長めのリーダーにティペット5Xを継ぎ足し、結んだフライは10#ヒゲナガパターン。渓相も水量も申し分ないが、釣れるのは6寸に満たない小さな虹鱒ばかりでした。
緊張感を失いそうにしていた時、ビシッ!!と鋭い音と共に水面からヒゲナガパターンの毛鉤が消えた!!無意識に合わせると、半円になったロッドから二度首を振る手応を残して鱒が消えた。ファイト時間も1秒に満たない短いファイトで、あっさりとオートリリースである。さらに進むと、反応が無くなり新しい足跡とともに前方に釣り人の姿。諦めて脱渓したが、消化不良の三人は別の川へ。
この虹鱒の川は10年以上前に入った時に全く釣れず、私の記憶から消えかけていた川でした。さらに、川面は樹木で覆われて薄暗く、茶色の底石と同化した虹鱒の体色は薄茶色。夏なのに錆びたような色合いの魚体が多く、熊の目撃情報が多い地域ででしたが、恐れよりも釣欲が勝った我々三人組は入渓をしました。すると、入ってすぐに反応あり、妙に元気づく我々でした。
ポイントらしい所からは必ず反応があり、友達は8寸から尺前後の虹鱒を次から次に釣るのに、私はスッポ抜けやバラシばかり。それでも、倒木が入っているバンク際にヒゲナガパターンをキャストすると、虹鱒が毛鉤に出てくれました。ビシッ!!と鋭い音と同時に合わせを入れると、倒木の下へ虹鱒が潜り込もうとし、満月のようにしなるロッドを見て、釣友が後ろで「デカイ、デカイッ!!」と叫んでいました。
何度かの突進を止めて何とかネットイン。ネットに収まったのは、底石と同化した薄茶色の8寸の虹鱒、しかもスレ掛かりでした。イイ引きをした訳です。
虹鱒を見た釣り友の一人が「スレでも1匹」との優しい言葉に自分も小声で「ウン」とうなずき、虹鱒を無事入魂。
これでなんとかグランドスラム達成出来ましたが、岩魚以外は小物ばかりでした。
もうすこし見栄をはれるような大物を釣りたかったなー、ウーン残念。

このロッドで35cm以上の虹鱒を釣るのは無理なような気がします。5X以上の強いティペットを使い、時間さえ掛ければ取り込めると思いますが、猛烈なパワーとスピードで暴れまわる虹鱒は、体力を消耗しきってしまい、リリースしても回復不能に陥るかもしれないからです。今回は、目標のグランドスラムを達成するために使用しましたが、普段なら同じグラスでも#4ロッドでしょう。

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1934年生まれの自分がこの釣りを始めたのは、1$360円時代からで、最初に買ったロッドは、今でも手元にある紺色の「喜楽」のグラスロッドでした。自分の持っている竿で一番思い出が多く、当時はそれらしいポイントににフライを流すだけで簡単に山女が釣れた時代でした。
10年ほど前からは、魚の大小や数に関わらず、退屈しない程度に渓魚が釣れればよくなりました。もちろん大物が釣れたり、沢山釣れたほうが嬉しいのですが、その代わり、若かりし頃は感じなかった四季の変化や花、鳥と虫等のフライフィッシングを取り巻く全てを楽しむ事が出来るようになった気がします。
そんな自分の釣りスタイルに合う竿は、ロッドに必要な全ての条件を満し、時には釣り人の欠点までカバーしてくれるグラファイトロッド。高価ゆえに無常の優越感と極上の釣り味を与えてくれるバンブーロッド。
どちらも素晴しいロットですが、競争したり釣果や釣り道具を自慢するのが嫌いな自分は、四季の移ろいを全身に感じながら、ゆっくり・のんびりと岩魚や山女を求めて釣り歩く自分の釣りスタイルには、ゆったりしたグラスの感触と、人間にのみ与えられた道具を操る楽しさを教えてくれる竿、そんなグラスロッドが大好きです。

イエローのシャフトにオレンジのラッピング。そしてホワイトのトリミング、この綺麗なグラスロッドと様々な峪で遊べたことに感謝します。


terryさんのバトンリレーに参加させていただき本当に有難う御座いました。
燃えに燃えた一ヶ月で14回もフィールドに出掛けました。小物ばかりでしたが、何とかグランドスラムも達成しました。
御歳65歳。私がロッドを置く日は神様だけが知っていると思いますが、自分が元気なうちに道南の岩魚の峪を、熊さんに怯えながらも釣り歩きたいですね。

terryさん、お待ちしてますよ。

by terry_ffb2 | 2008-08-09 23:58
by tokyo_terry | 2008-09-23 09:24 | ☆Fly Baton Relay☆