terry's River Side Bar

Brown trout in highland

張り出した枝の下の流れ、必ずそこにイワナは着いている。
そう信じて毛鉤を流すと、狙い通りに水飛沫が激しく上がった。

Brown trout in highland_e0009009_22255779.jpg
真夏の真っ昼間。
太陽は大空の中心から少しずつ傾きかけているから
もう随分と前に朝露は気温の上昇とともに消え
テレストリアルの流下も少ない時間帯。

全体的に水深の浅いこの流れでは、
バンク際のエグレや、大きな石で出来た巻き返し
水深のある沈み石の周辺、水面に張り出したブッシュの奥が
日中にサカナを引き出すためのキーポイントになる。

踝ほどしかない水深でも、キーポイントを外さなければ
イワナは毛鉤に必ず飛び出してくるはず。
そう信じて、張り出した枝の下の浅い流れに毛鉤を投げ入れると
ボクの思惑通りに、水面から激しい水飛沫が上がった。

自分でこんな風に書くのも何だか変な感じだが
抜群のタイミングで右手に持つフライロッドを跳ね上げアワセを入れると
ティペット・リーダー・フライラインの順に、サカナからの躍動が伝わってくる。
サイズはそれほどではないが、こういった狙い通りの釣りは気持ちがイイ。

しかし、背中のランディングネットを左手で掴み
ランディングの体勢に入ったときに違和感を感じた。
ランディングネットに横たわる魚体を見て
その違和感は複雑な気持ちへと変化する。

それはブラウントラウト。

この木曽の流れには居ないはずの鱒がボクの毛鉤に食らいつき
その結果、ボクのランディングネットに横たわっているのだ。
何かの間違いでこの流れに放流されたしまったのだろうか。

しかし、この流れに随分と馴染んだのか
各ヒレもキレイに伸び、サイズの割にはやや太めのシルエット。
体色もよく、朱点もとても綺麗で鮮やかだ。

普段ならこんな綺麗な鱒に出会うことが出来るととても嬉しいのだが
このときは、何故か素直に喜べない複雑な心境になった。
このサカナには、なんの罪などはないのだけれど。

まあ、このブラウントラウトに出会えたことで
この二日間でニッコウイワナ・ヤマトイワナ・アマゴ・レインボーと
五目釣りが達成できたのだから、素直に喜んでおこう。

釣りの旅を繰り返していると、時折変わったサカナに出会うこともあるものだ。
しかし、改めてこのブラウントラウトの写真を見ていると
何処か寂しげな表情をしているような気がする。
by tokyo_terry | 2006-08-21 22:28 | ∇ Fishing Talk | Trackback | Comments(10)
Commented by flymagic at 2006-08-21 23:07
terryさん、まいどっ!
この事ですね、スゴイ魚の事って!
ブラウントラウトは神出鬼没です(笑)。なぜ?こんな所にいるの?って
事が多いですね、生命力も強いし繁殖力もあります。この事は良い場合もあるし最悪の状況になる事もあるでしょう・・・木曽の流れにがブラウントラウトしか釣れない川にならなければ良いのですが、ちょっと心配ですね(笑)。北の大地でもイワナの川が今ではブラウンの川に成ってしまった
事例もあります。上手く住み分けが出来ると良いのですがね。
Commented by Lt_cahill at 2006-08-21 23:18
terryさん、こんばんは。
記事を読んでて複雑な気持ちになりました。木曽の川も放流が乱れているのでしょうか。魚に罪はないですが、こういう事例がニュースになるとまた外来魚騒ぎになりかねないので、漁協にもしっかりしてほしいものですよね。
Commented by tokyo_terry at 2006-08-21 23:26
akaさん♪まいどッ!!
イロイロと問題になってる鱒だけに、今回エントリーしようか、しまいかちょっと迷ったんですよ。害魚扱いされてしまっている鱒だけに。でも、このブラウンには何も罪はないですよね。それに、繁殖力が強いサカナといっても、今回釣った流れでは、パートナーを見つけるには困難かなと。
自然渓流で釣ったのは初めてだったので、ちょっとビックリしました。
Commented by tokyo_terry at 2006-08-21 23:30
Lt_cahillさん♪こんばんわ!!
ランディング直前、あれ!?って感じ。以前にもこの流れでMr.Hもブラウンに出会ったコトは聞いていましたが、まさか自分が釣るとは思いもよりませんでした。出来ることなら、アメリカやNZランドあたりで出会いたかったですね。
梓川にもブラウンが居るようなので、同じ養魚場からやってきたのでしょうかね。
Commented by para-miyuki at 2006-08-21 23:32 x
個人的に思うことは、中部圏は、川のキャパシティーに比べると、圧倒的に魚の数が少ないと思いますね。
暴れ川が多いということもありますが、そんな中でも生き残れる種は、自然に繁殖していくでしょう。
種の保存ということからいえば、その力が弱いヤマトなどに影響が出なければいいですね。
Commented by tokyo_terry at 2006-08-22 06:45
miyukiさん♪おはよ〜ございます!!
中部の渓の現状・・・そうかもしれませんね。キャパの割には魚影が薄い渓も多々あるような気がします。渓を取り巻く環境もイロイロと問題ありかもしれません。機能を失った数々の堰堤や渓を囲む森や、釣り人の多さ。下手すりゃ釣りだけじゃなく、未だに投網での一網打尽などが行なわれていたり。
放流に頼らなきゃ難しいのは理解できるけど、miyukiさんの言われる通り、種の保存もあまり感じられない放流もあるかもしれません。今回も木曽の渓では、かなりの割合でニッコウイワナが釣れました。う〜、難しい話ですね。
Commented by Rolly at 2006-08-22 12:16 x
みゃ~どっ!木曽のブラウンと聞いてピンと来ました。ぼくのひらめいた川であるなら経緯は少しだけ知ってますよ。
まぁ、思うことは色々ありますが、そもそもブラウンが問題なのか、その水系以外から意図的に入った魚種が問題なのかをハッキリ見極めた意見を持ちたいなぁとボクは考えています。メディアの煽りに駆られて中途半端な知識での議論は問題を益々ややこしくしかねないので、きちんとした意見が持てるようにボクも勉強中です。
Commented by ruralstream at 2006-08-22 17:46 x
ごぶさたでした!
ブラウンは北海道でも問題になってますね~
僕の実家近くの海ではシートラウトが網にかかったそうです。
また、支笏湖はいまやモンスターブラウンの湖と化しています・・・
魚食性の強い彼らは、野生化して在来種を脅かしていることは確かでしょうね。
Commented by tokyo_terry at 2006-08-22 22:30
Rollyさん♪みゃ〜どッ!!
ボクにはRollyさんほどの釣り場環境の知識や経験、貢献などはありませんが、徐々に勉強して行きたいと思ってます。またここら辺のお話なんかもご一緒した時にお聞かせください。よろしくお願いしますね!それにしても木曽でブラウンにあったコトはマジでビックリしました。この経緯もまた教えてくださいね。
Commented by tokyo_terry at 2006-08-22 22:39
rualstreamさん♪こんばんわ!!
そのようですね、イロイロと物議を呼んでるようですね。北の海ではシートラやスティールもいるとか。1月に海アメ釣りに行った時、同行者が隣でスティールを釣り上げたのを見たと言う話も聞きました。モンスターサイズのサカナたちとの出会いは嬉しいけど、ちょっと複雑な心境になりますね。
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