Late Show
そして“釣りとはくだらない遊び”。
仕事を手際良く片付けるコトができた水曜の夜。
会社の駐車場に停めてあるクルマに飛び乗り
イグニッションキーを回す。
それは“レイトショー”に何とか間に合いそうな時間だったから。
放映の始まる10前に劇場に到着して、受付でチケットを買い求めた。
小さな劇場の中に入ると、通路にはドリンクの自動販売機が設置してあった。
会社から急いで走ってきたために喉が渇いていたボクは
数種類のドリンクの中から、果汁100%のAppleジュースを選んだ。
何となく飲みたかっただけで、特別な理由はない。
時間に間に合って良かった・・・と思いながら指定席に座り
Appleジュースの紙パックにストローを刺して、果汁100%を口に含む。
すると、スクリーンの前に掛かった緞帳が上がりはじめた。
同時に緑と白で光っていた非常口を示す灯りが消え劇場内の照明が落ちた。
そして数本の予告編の映像が流れ終わった後、その映画が始まった。
118分後、ボクは劇場から出て、クルマのイグニッションキーを再度回す。
冷え切ったエンジンは、その回転数を高めにして回る。
回転計の赤い指針を見ながら、ボクは劇中に聞いた台詞を二つ思い出した。
“出会いは全てが師”という台詞と“釣りとはくだらない遊び”と言う台詞。
両極端な二つの台詞がボクの胸の中に大きく響いた。
そして、昔見たテレビアニメの曲を思い出しながらアクセルを踏み込んだ。
人は 誰でも 未知の世界にあこがれ
旅に出るのさ たった一人で
ときには人生 哀しみにぶつかり
ときには青春 霧の中さまよい
泣くことも あるけれど
そうさ 心の星をみつめて
旅人は 歩いてゆく だけさ
♪若き旅人
今度渓へ出掛けた時は、余計なコトなどは考えず
ただひたすらに、無心にフライロッドを振って来よう。